気のない返事をしたジョーの視界、ちょうど、フランシーヌの後ろに、茄子の実がたわわに実っていた。

艶やかな紫色に輝く茄子の姿に、白いハラワタをまき散らして粉砕される様子が重なっていく。

それは、一瞬先の未来だ。

ジョーの全身に緊張が走った。

後ろを振り返って確認する余裕はない。

「フランシーヌ!」

フランシーヌは、ジョーの厳しい声にハッとして身を固くする。

叫ぶと同時に、ジョーは地面を蹴って跳んでいた。

銃声が、二発。

パン、パン、と、それとわからないほどの乾いた音が、広大な農園の空に消えていく。

茄子が弾けた。

もう一発は、空調の吹き出し口を削った。