「まあ、そりゃあ、フランシーヌは、難しい言葉もいっぱい知ってるし、オレなんかよりも、ずっと頭がいいかもしれないけどさ…」

「ありがとう。博士号を二つ持ってるわ」

さらっと言い放つ少女に、ジョーはおもいっきりたじろいだ。

「げ」

ジョーは、このコロニーは、選ばれた者の箱船だということを思いだした。

フランシーヌは、そんなジョーの動揺などおかまいなしだ。

手近なところになっているピーマンをもぎとって、パクリとかじった。

「なんの研究をしてるとか訊かないのね?」

しゃりしゃりとピーマンをかみ砕きながら、フランシーヌは言った。

「聞いても、オレにはわかんないし、デートの話題としては無粋だよな」