「そこの、くわえ煙草少年っ! 未成年者及び屋外喫煙! 罰金五○ドルよっ!」

突然、拡声器から、ジョーの耳に女の子の声が突き刺さってきた。

ジョーは、ギクリとして周囲を見回す。

いや、見回さなくてもわかっている。

このコロニーで、くわえ煙草で外を歩くような不良は、ほかにはいない。

「そう、君よ! こっち向きなさいよっ!」

凛とした声だった。

自分の行動に、一片の迷いもない透き通った意志の強い声だった。

ジョーは、その声に誘われるように、ゆっくりと振り返った。

その、瞬間。

目の前で、紅蓮の炎が弾けた。

…ような気がした。

ガツンと目の奥にショックが来て、反射的に目を閉じた。

銃で目を撃たれたのかと思った。

息が詰まって、手足が痺れた。

少しよろめいて、左目を手で覆い、顔を上げる。

声の主を眺望した。