数十人の学生風の若者たちが、スクランブル交差点の真ん中にトレーラーを止め、ビラを配り、演説をして交通渋滞を招いている。

だが、彼らがいくら気を吐いても、この戦争を終わらせることはできないだろう。

人類が全て死に絶え、地球という星が破壊されるまで、争いは続くのだ。

ジョーにはそれがわかっていた。

わかっていたから、交差点の混雑が反戦集会だと知ったとたん、背を向けた。

彼らの主張を聴いても無駄だからだ。

ドクロの顔をした大衆に向かって、ドクロの顔をした学生が訴えかけているだけだ。

必死で声を張り上げても、迷惑そうに受け流しても、彼らにふりかかるのは同じ運命。

未来は変わらない。

それを再確認するだけなのだ。

ジョーは、部屋に帰って神経を休めようと思った。

今日は、あまりにも厭世的な気分が強すぎる。