―名前は何て言うんですか?

彼は前だけを直視しながら、低くい声で愛想なく言葉を発した

―崎田です 崎田志保里…

―崎田さん…まだ酔ってますか?

―えっと…さっきよりは少しまし…かな

―だよね、ちゃんと話せてるもん

正直、まだしらふには程遠い…でもあまりに感覚が敏感で、五感が脳を突き上げていた

―東住 吉行…やっと挨拶できるね 初めましてっ

その時、男は少し笑顔を見せた…
そう…
ワイングラスを持ってきてくれた時、
トイレから出てきてぶつかった時、
愛想は悪くなかったが、笑った顔は見せなかった