―受付だけお願いできますか?

現れた中年の男性

特に知らない私達に不信感の欠片も見せずに、一冊のノートを手渡した

《崎田 志保里》

私は自分の名前だけ記入し、ノートを手渡すと、

―あぁ、崎ちゃんの妹さん?聞いてたよ
適当に楽しんで行ってね

そう言って、やはり不信感の欠片も見せずに中へ通してくれた

広いリビングには大勢が、ワインやおつまみを手に、いくつかのグループに固まって話している

ドレスアップした女性…

めかしこんだ男性…

明らかに固めのスーツ姿のおじさん…

ギャル風な若い女性…
ある者は、テーブルを取り囲み、集団で会話している

ある者は、ソファに腰を下ろし、仕事の話をしている

広い寝室では、ツインに別れてベッドで二人で親密に話している

バルコニーでは肩を抱き合って、顔を近付けながら何やら怪しい雰囲気

名刺を交換している人もいれば、ベロベロに酔ってはしゃいでいる人もいた

―うわっ、見て!ワイン飲み放題なんですけど…

三瓶はすでにボトルに手を伸ばしていた

遥奈はきょろきょろと男を物色している

私達は、一番人の少ない部屋(寝室が二部屋あった)のベッドに腰を下ろし、三瓶の抱えていたワインを飲もうとした