いつもと変わらない景色の中に 

突然飛び込んできた 笑顔の人

あまりにもきれいに笑うから 

胸が苦しくなって 思わず顔をそむけた僕に

「ねぇ、ここらへんに住んでいる人?」

そう言って 微笑みかけてきたよね

その笑顔が今も 僕の心に残って 

僕を支えているって 知っているのかな?



好きだって思った時にはもう遅くて 

君にはもう大切な人がいるって知った

というか君は 喧嘩して帰れなくなって 

しかも 道に迷ったなんて

楽しそうに笑うから 僕もつられて笑ってしまった

帰り道を教えてあげた それだけだったけど 

僕にとっては 幸せな時間で

もう少し 長く続けばいいなんて 願ってしまったりした



君が驚いたように顔をあげて 

それから嬉しそうに駈け出して行った先には

きっと喧嘩をしていた相手であろう男がいて

よかったなんて 思いながら 帰ろうとした その時

「迷惑かけたな」

聞き覚えのある声がした 

あぁ お前の彼女だったのか 知らなかった




夜に女を部屋から蹴りだすなんて 男失格だって 

彼女と一緒に からかってやる

「お前でよかったよ」

かけられた言葉に複雑な気持ちになったが 笑って手をあげた

「おい いくぞ」

そう彼女に声をかけて 

あいつが背を向けて歩きだしたとき

君が僕に近づいて 囁いた

「・・・・」




その言葉だけで もう 何年も生きてきた 

バカバカしいくらいに 信じきって

それも 終わりになるのなら 

はやく はやく 消えてしまおう




遠くに聞こえるチャペルの鐘の音 

近くに響く水の音

これが 正しい 道なんだ