「あの話してから一週間もたってねーのに
もう鞍替えかよ。
根性たんねーんじゃねえの?」

「何だと?」


明らかに敵意を向けられて
俺の中にも怒りが込み上げてくる。

尋常じゃない雰囲気の俺らに
周りの奴らが段々と気付き始め
好奇の視線を送ってきてるのがわかった。


「あんなに激しく遊び回ってたお前だ。
そうそう一人の女で満足とか
出来るわけないよな。
人間はそう簡単には変われねーよ」

「浩てめぇいい加減だまれ。
好き勝手言ってんじゃねーよ」


怒りで血液が逆流していくような感覚がして
震える拳をにぎりしめる。


「痛いとこつかれたって感じだな。
ああそっか、
もしかして振られたとか?
それで他の女はけ口にした。
もしそうだったら最高にダセエな」

「この野郎ッ!」


――瞬間的にカッと頭に血が上って
勢いよく立ち上がって
浩の胸倉に掴みかかる。

椅子が激しく床に転がり
浩の膝の上の雑誌が吹き飛んだ。


驚きでざわつく周りの奴らの声や
教師の「何やってんだ!?」と怒鳴る声。

でもそんなもの何も気にならず
更に両腕に力を入れ目を細めて浩を見る。


「テメエには関係ねえだろうが。
くだらねえ詮索してんじゃねーよ!」

「そんなに怒るって事は
もしかして図星だろ?

そうだよな〜モテモテ藤ケ谷君は
女に振られたとかプライドが傷付けられて
片思いなんかやってらんねーよな。
お前、何様のつもりだよ?」


人の事を馬鹿にするみたいに
目の前で鼻で笑われて
とうとう自分の押さえがきかなくなり

教室とか
教師の前とか
全てどうでもよくなって
右手の拳をおもいっきり振り上げた。


女の甲高い悲鳴と
誰かの怒鳴り声が聞こえた後に
ガツンって音と
頭にずっしりとした衝撃と痛み――。