人のいない放課後の教室。
ユリは窓の外を見ながら俺の話を聞いた後
大きな瞳を俺に向けた。


「そう、ばれちゃったのね
リョウの言った通りよ」

「ってお前、
何でホントの事言わなかったんだよ!」

「言えなかったのよ。
自分でも自覚してるけど私ダメなの。
プライドばっかり高くって
弱み見せられないのよ。

あんな下らない嫌がらせを
いちいち気にする自分も嫌だったし
リョウにばれたらってビクビクするのも
バカらしくなっちゃって。

もう全部嫌になってだから逃げ出したの。
リョウの気持ちも考えないで
自分の安らぎを選んだのよ。
……ごめんね、リョウ」


夕日に顔を染めるユリ。
そうやって
自分が全部悪いって風に話すから


「――何だよ。
こっちが謝る前にお前が謝るなよ。
お前が悩んでんの
俺は全然気がつかなかったんだから」

「それはね、
リョウがダメなんじゃなくて
私がすごいの。
そういうときの私は
誰も見破れないんだから」


そう言って得意げに微笑む
ユリの顔を見て思った。

俺との事はコイツにとって
もう過去の事なんだって。

それと同時に
俺の心の中にずっと引っ掛かってた物も
溶けて無くなっていくような感覚。