――ユリと付き合ってたのは中二の時。

ベタなシチュエーションだけど
同じクラス隣の席って状況で
頻繁に話をするうちに
自然とそういう関係になった。


見た目が好みだったってのもあるけど
それ以上に、サバサバしてて
言いたい事をズバズバ言う性格は
かなり気が合ったし一緒にいて楽しかった。

それに気が強いながらも
周りをよく見てて
さりげにフォローする姿は
すげぇなって尊敬すらした。

見た目によらずユリはかなりの
ロック好きってのも大きかった。


で、付き合ってる間は色んな事を経験して
笑って泣いて?バカやって
沢山の思い出を共有した。

不器用でしょっちゅう喧嘩もしたけど
俺はあの時ユリが好きだったし
彼女も多分そうだったと思う。


……それが何で別れることに
なったかっつーと
付き合って10ヶ月目の中三の春。

新学期を迎えてすぐに
いきなりユリにフラれたから
理由も言わずただ“別れたい”って。


それでも俺は
二人は上手くいってると思ってたから

諦め切れなくてヨリを戻そうと
しつこく理由を聞いたりしたんだけど
結局最後まで本当の事を
教えてはくれなかった。


それにクラスも離れてしまって
なおかつ会うのを避けられたりして
自分の気持ちの整理もつかず

次第に自暴自棄になって
ユリに当て付けるように
その時告ってきた女と
付き合うようになった。

んでその後は
例のアキの声と出会ったことで
はけ口の如く取っ替え引っ替え。

それなのに他の女と付き合うたび
ユリとの違いを比べたりして
フラストレーションはたまる一方の悪循環。


っていうのもその時俺は
すでにバンドにがっちりはまってて

付き合う女は皆口を揃えて
“私と音楽どっちが大事なの!?”
と馬鹿みたいな事を聞いてくるから。


でもユリは
デートの予定を変更しても
携帯の着信に気付かなくても
文句も言わず
逆にスゲー応援ってか見守ってくれてた。

別れたことで
いかにユリがすげえ女だったかって事が
改めてわかったんだ。