「保健室でなんてしたことないのに」

「そう言えばそうだったな。
中学では保健室、
カト婆が目光らせて
使用禁止だったもんな」


中学時代のちょっとうるさかった
おばさん保健医の顔を思い出しながら
ユリのネクタイをスルスルと解いていく。


「ってお前、
萎えるから思い出させんなよ」

「ふふっ、知らないわよ。
リョウが勝手に思い出したんでしょ」

「あー、消去消去。
ってわけでユリもっとこっち来いよ」


靴を乱暴に脱ぎながら
ユリの身体をベッドの上に引き上げる。

そして彼女の白いシャツのボタンを外し
胸元に口付けるかたわら
自分のネクタイを緩めた。


すっかり肌をあらわにしたユリが
俺の頭を抱きしめ
甘い声を漏らしながらまだ強がってみせる。


「キモチヨクなかったら
蹴っ飛ばして帰るからねっ」

「ははっ、どんだけ女王様なんだよ。
でもその辺は安心しろよ
俺、自信あるから。

それにしてもお前も言うようになったな
最初は“痛い痛い”って
可愛く泣いてたのに」

「なによ、リョウだって
全然余裕なかった癖に」

「うるせーよ。
つーかお互いいい加減だまろうぜ」


会話を遮るために
再びその唇を塞ぎながらも
昔の事を思い出して
少し笑みを漏らしつつ行為を重ねていく。


――そしてユリの身体をベッドに押し倒し
彼女の上に重なりながらも
俺は腕を伸ばして
周りのカーテンを勢いよく閉めた。