ユリの身体がビクリと震えた。


「あいつの話は聞きたくない」

「リョウ?」


絞り出したような掠れた声で
彼女の話を遮ると
ユリは言葉をなくしたまま
ジッとこちらを見る。


――どれぐらいの沈黙の後か
再び視界に細い指が映り

今度は額でなく
瞼をそっと閉じるように
滑らかな掌が両目を覆った。


それど同時に
唇にやわらかく温かい感触。


目と唇の両方のぬくもりが消えた後は
目の前のユリの悲しそうな顔。


「そんな目しないでよ
お願いだから」

「お前こそ何て顔してんだよ」


俺は意識して少しだけ笑顔を作った後
右手でユリの柔らかい髪ごと
後頭部を抱き寄せると
今度は俺のほうからキスをした。


触れ合った身体が
徐々に熱を帯びていく。


その後はお互い
求め合うままに深く唇を重ね続け
絡み合う度に脳の奥がクラクラと痺れる。


今は何も考えたくない。

ただ――身体が求めるままに。


呼吸の合間に
顔を赤らめた彼女に問いかける。


「ユリ、やろうぜ」

「そんな直接的に言わないでよ」

「いや、いちお
許可とっとこうかなーって」

「素直でリョウらしいといえば
らしいけど」

「だろ?
だからお前も素直になれよ。
その顔スゲーそそる」


そして俺は
ユリの弱い首筋と耳を重点的に攻めていく。


その度に乱れる呼吸。


お前が感じる場所なんか
悪いけど知りつくしてる。