「ついさっき
体育の授業で怪我した生徒がいて
斎藤先生付き添って
病院行っちゃったのよ。

“いくらでも寝てて良いから
あとはヨロシクね”って」

「あの女適当すぎねえか?
普通生徒に薬の管理任せねえだろ」

「だってリョウと私じゃ
普段の行いが全然違うもの」


そう楽しそうに微笑むと
頭痛薬らしき錠剤と
水の入ったコップを俺に差し出した。


確かにコイツ教師の評判はかなり高い。
本当は腹黒なのに
普段はまわりには猫被ってるから。


軽く礼を言って
一気にそれらを流し込むと
ユリは俺の使ったコップを奪って
流し台の方へ歩いて行った。


それをきちんと洗って片付ける
細い背中に呼び掛ける。


「ユリ、頼みがあんだけど」


「なーにー?」と鼻歌混じりの声。


「もう一回熱計ってくんない?」

「ちょっと待って
今体温計出すから」

「いや、そうじゃなくて
お前の手で」