足取りも軽やかに
少しだけ浮かれた気持ちになりながら
アキに引かれるままに歩いていくと
徐々に変化する回りの風景。


頭の中でその情報を認識するたびに
嫌な予感とも言うべきか
ざらついた風が
背中を撫でるような感覚。


回りには俺らぐらいか
それよりも少し年齢が高いだろう人が大勢
同じ方角に向かって足を進めている。


そして見るからにガラの悪そうな
オヤジ達が至る所に立ち
道行く人に声をかけていた。

この人達は俗に言う
ダフ屋のオッサン達で――。


……そう、俺の記憶が正しかったら
この先にあるのは“アトラスホール”。

県内で最大級の集客数を誇る
コンサート会場だ。