上手く言いくるめたと形容すべきか
アキは少しだけ考えるそぶりをした後
ギュっと柔らかく手を握り返し
再び目的地らしき方へ歩き出した。

小学生のガキでもないのに
それだけで心がくすぐったいような
何とも言えない気持ちになる。


俺って実は純情?


散々女と遊んできたのに
こんな風に誰かを思ったのは
初めての事だった。


「アキ、お前今日いつもより
かわいくねぇ?」

「え!?な、何言ってんの?
どうせ回りの女の子
みんなに言ってるくせに」

「バカ、ちげーだろ。
お前今日は特にかわいい。
俺ホントにかわいいと思った奴にしか
この言葉使わねーし。
嘘でもお世辞でもなくて
マジで言ってんだけど」


足を前に進めながら
その姿をマジマジと見つめると
アキは頬に手を当てて
恥ずかしそうに俯いた。

アシンメトリーで裾が長い白のTシャツ
ミニスカにブーツ。
髪は緩く巻いて
いつもよりも大人っぽく見える。

服もこんな感じで
かなりかわいいのはもちろんだけど
醸し出す空気とかさりげない仕種が
何となくいつもと違くて
かなり心臓がドキドキした。


その後の二人の空気もどこかおかしくて
もしやこのまま……?
とか期待した俺は

その何分後かに180度違う状況に
置かれることになるんだけど……。