いつの間にかアキと二人きりだけで
向かい合わせの形になってるのに気付き
辺りを見回してみる。

すると例のナンパ男達は
すっかり消え去ってて
俺らの姿をチラチラと横目で見る通行人達。

でかい声で言い争いしてた俺らは
かなりの注目を浴びてた。


あいつら諦めたのか。
追っ払う手間省けたな。


そんな風にひそかに安心してる俺の横で
アキはそんな事全く気にしてない様子で
携帯の時刻を確認すると
慌てたように歩き出した。


「あっやばい!時間!
リョウ行こう。
間に合わなくなっちゃう」

「間に合わないって今日何かあんのか?
俺全然知らないんだけど」

「……来ればわかるよ」


ふーん、またそれかよ。


ふて腐れた気持ちになって
アキの隣に並びさりげなく手を握る。


これからはガンガン押してこうと
昨日決めたんだよね。


するとアキは予想通りというか
顔を真っ赤にして


「きゃあ!!ちょっと手!」

「変わんねーなお前。
いーじゃん手ぐらい。
俺目的地わかんねーし。
ほら時間ねえんだろ?
早く早く」