「しかもあんなギリで連絡しやがって!
俺30分で風呂入って支度して
どんだけ焦ったと思ってんだよ!」

「はぁ?そんなの知らないよ。
私メールしたの3時頃だよ。
……まさかずっと寝てたとか?
あんなに飲むからいけないんだよ」

「だって松さんが“勝負だー!”
って言うからさ。
売られた喧嘩は買うのが男だろ?」

「途中から松さん
自分の分のお酒水に変えてたの
リョウ全然気付いてないんだもん」


少しの隙間もなく
畳み掛けるように続く言葉の応酬。


「は?マジかよ!
だったら教えろよ!
何杯飲まされたと思ってんだよ」

「だって有坂君が
“オモロイからだまっとこーや”って」

「ケンゴの野郎……!
そもそもお前が全然飲まないから
いけねーんだよ。
勧められた酒どんどん俺に回しやがって。
かわりに俺が
あんなに飲むはめになったじゃねえかよ」

「しょうがないじゃん。
私とてつもなく弱いんだから」

「ヘェ、意外。
なあアキ、お前酔うとどうなんの?」


途端にニヤケタ俺と
警戒してそっぽを向くアキ。


「教えない。
あっ!今凄いやらしい想像したでしょ!」

「してねーよ!
うん、アキちゃん。
今度飲みに行こうか、二人っきりで」

「嫌、絶対に嫌」

「大丈夫、大丈夫。
全部俺に任せとけって。
……あっ、そういやぁチャラ男達は?
すっかり存在忘れてた」