……は!?

結構ってか
かなり痛いんですけど。


若干放心状態で
目の前がチカチカしたまま額を押さえ
悪びれた様子もなく目の前に立つこの女に
現在の最大級の謎をぶつけてみる。


「真希」

「ん?」

「今の、何だ?」

「メリケンサック?」

「じゃなくて理由は?」


俺の言葉が短いのは
きっと怒ってるから。

だって理由も不明なまま殴られたら
誰だって頭くんだろ?


「ごめんごめん。
思った事すぐに行動に出ちゃったよ!
リョウがあまりにも不甲斐ないから
気合い入れてあげようかなーって」

「……不甲斐ない?」

「だってそんな風に
女に振り回されるリョウなんて
見たくないんだもん。
いつもは適当にあしらってるくせに。

こんなとこで
ウジウジしてるリョウなんて
リョウじゃないもの!」

「んな事言われたって……」


俺がこうして待ってるのは
真希の知らない事情が色々あるからで
別にウジウジしてる訳じゃない。


…………。

ってウジウジしてんのか?
もしかして。


真希は言いたい事言って
すっきりしたのか
俺に意味深な笑いを見せると

コーヒー片手に戻って来た友達と共に
「じゃーねー」と
手をひらひらふりながら
ライブハウスの方へ消えて行った。