少しだけ感心しながら彼女の方を向く。


「来てくれてありがとな。
お前、一人で来たのか?」

「ううん、同中の子と。
今向こうのカフェで
コーヒーテイクアウトしに行った」

「そっか。
でももう開演してんのに
ずいぶん余裕だな」

「だって響子が、って友達の名前ね。
最初は前座的扱いで
あんまりいいバンドはやんないから
ゆっくり行った方がいいって。

リョウのバンド有名なんだね?
響子知ってたもん」

「へー、そうなんだ。
その子バンドとかやってんの?」

「ううん、聞くほう専門。
洋楽とか、インディーズとか
かなりマニアックなのばっかり聞いてて
私にはさっぱりわかんない」


そんな風に響子って友達のことを
楽しそうに話す真希を見て
ちょっとしたギモン。


「一見共通点なさそうだけど
何で仲いいんだ?」

「えっとね、私も響子も
いい男大好き
合コンクイーンだから!」


……あ〜そういうことね。


全然隠すこともなく堂々と言ってのける
真希を見て改めて
コイツ、……たくまし過ぎる。
そう思った。