PM6:14

COUNT ZERO楽屋....


飯も食い終わり
DeFautの松さん、カズマ、俺で
くだらないことで盛り上がってると
叩き破りそうなほどの勢いで
ドアが数回なった。


「なんだ!?道場破りか!!」

「松さんそれナイス〜!!」

「つーか誰だよ!
はいどーぞー」


カズマがそう答えたのと同時に
すげぇ勢いでドアが開き
赤い塊が中に飛び込んできた。


「アニキ〜!!差し入れっす」

「おおサンキュー。
こっち座れよ」


その正体はもちろんタケで
今日も気合入れのごとく赤い髪を立て、
黒のライダースジャケット
黒の細身のパンツに身を包み

まさしくパンクキッズさながらの格好で
うれしそうに俺の方に駆けて来た。

そして献上品のごとく差し出してきたのは
ビールの6缶パック×2。


「うあっと、ちょっと待て
隠せ隠せ〜!!!」


急いで部屋のすみにそれらを置き
上着やらカバンやらで
見えないように施した。

首筋に嫌な汗が伝わりながら
ドレッド店長の悪魔の笑顔が浮かぶ。


「????
アニキ達そんな焦ってどうしたんすか?」

「いや、何でもない。
タケサンキューな」


後でこっそり飲むことにしよう。
そうしよう。

そんな風景に全く動じてない松さんは
仏のような顔で


「いいな〜君。
僕もあと20キロ体重が軽かったら
君みたいなバンクの格好して
ステージに立ったのにな」

「松さんそれ何のギャグ?」


なんてカズマは失礼なツッコミ。


「いや本気で。
実は音楽やり始めのころは
パンクバンドばっかりコピーしてたよ。
コードも簡単で入りやすかったし
ちょうど反抗期真っ最中だったから
彼らの攻撃性に憧れたりしてね」

「へぇ、何か若いときの
松さんって想像できないな。
尖ってた松さん見てみて〜。
今は悟りの極地って感じだし」


腕を組んで感心するカズマの横で
キョトンと大きな目をパチパチするタケ。

あれ?そういえば……。


「タケお前今日一人か?」