思いがけない言葉に視線をケンゴに移す。


「八つ当たり??
何だそれ」

「まあええやん。
それよりカズマとケイタは?」

「ああ、二人なら小腹が空いたとかで
飯食いに行った」

「そっか、俺らも行っとくか?
もうすぐ客入れる時間やろ」


ステージでの打ち合わせも終わったようで
楽器を持ってはけて行く
ニノベーダーのメンバーを横目で見ながら
出口の方に足を向けた。


……上手く交わされたな。
やっぱコイツには口ではかなわねぇし。
でも交わされついでにこっちも聞いとくか。


「なぁケンゴ。
ミヤとはいったいどうなってんだよ」

「カズマと違ってお前がそう言う事
聞いてくるの珍しいやん」

「聞いても教えてくれないって
カズマがぼやいてたからさ
どうなのかな〜って思って」

「で、俺が正直に話すとでも?」

「あ〜、お前は言わねぇな。
悪ぃ、忘れてくれ」


ケンゴはほんっとに
女事情を俺らに話さない。

でも、本人の口から聞いたことはないけど
一緒にいれば少しなら
見えてくるものもあって

影では度々言い寄られてるのを
見かけたことがある。
それも綺麗なお姉さまがたに。

でも音楽の趣味がうるさいのと一緒で
女の趣味もかなりうるさいから
どの女も全然相手にしてなかったし

しかもしつこい女とかは
かなりきつい事言って蹴散らしてた。

(でもドMな女が多いのか
言われて喜んでる奴らばっかりで
凄ぇケンゴに同情した)


だからミヤといい感じだって
聞いたときは正直驚いたんだ。

ぶっちゃけ気になるけど
無理に聞き出すのは嫌だしな。


まぁ今日ミヤ来るだろうし
二人の様子見てればわかんだろ。

と考えをめぐらせながら
少し先を歩くケンゴの後ろに続き
階段を下りていった。