「マジかよ、
それであの演奏……」

「何やリョウ、
なかなかおもろい情報握っとるやんか。
そう言う事は早く言えや」


予想通り食いついて来たケンゴに
思わず顔がほころぶ。

やっぱりコイツ負けず嫌いだな。


「……ちょっと待て、
嫌な予感、すんだけど。
俺は絶対やらねーからな」

「そーか、あいつらあの演奏
ほとんどぶっつけ本番で
やったかもしれん言う事やな」

「そうだ。
しかも観客の半分は
耳の肥えた業界関係者だった。
多分今日よりも
プレッシャーは半端なくでかかったはず」

「……おーい、二人とも
俺の話聞いてた?」


慌てた様子で立ち上がったカズマに
ケンゴは宥めるように話す。


「えーか、カズマ
あいつらに出来て
俺らに出来ひんことなんか
ある訳ないやろ」

「そうそう。
むしろ俺らの方がずっと状況はいい」

「お前らアホだろう!
その根拠のない自信は
どっから出てくんだよ。

あの時点であいつら
つーかDown Setはメジャーデビューが
決まってたんだぞ。
それほどの実力があったってことだ。

そんな奴らと同じレベルの事なんか
出来っこねーだろ!」