「ってオイ!
西条来るかどうか
まだわかんねーだろうが」

「それに俺らアイツの歌
あの曲でしか聞いた事ないんやで!?
いきなり合わせるとか無理やろ」

「……ふーん。
問題なのはそれだけ?」


まだ自信の揺るがない俺の態度に
カズマは戸惑ったように黙り込み
反対にケンゴはさらに口調を強める。


「もし仮に西条が来たとしても
あの曲覚えて来るとは限らんやろ。
お前の得意なバクチ打つのもえーけど
今回ばっかはやり過ぎちゃうか?」

「……お前らの言う事はもっともだし
ハッキリ言って
あいつが来るって確証は何もない。
でもやりたくなっちまったんだから
しょうがねーだろうが!」

「はぁ!?逆切れかよ!
偉そうな事いった割に
その言い分は何なんだよ!
せめてもっと早く言え!!」

「だってさカズマ
今思いついたんだもん」

「……だもんってお前」


呆れて物も言えない感じのカズマに対し
ケンゴはキレる一歩手前で
ソファに踏ん反り返って座り
ケイタはハラハラした様子で
俺らの顔を交互に見つめてる。


自分だってこんなの
バカな事だって十分わかってる。

わかってる、けど……
一つだけ言える憶測に近い事実。


「あのさ、この前
小耳に挟んだ話があって。

例の“Running From Lions”を
アキが歌った日
あれ始めはかなり無理矢理
アイツをステージにあげたらしいぜ。
話聞くかぎりじゃ
リハは多分、してない」