例の好きな奴がいたりしたら……

なんて嫌なことが頭をよぎりながら
アキの家のインターフォンを押すと

ピンポーンって機械音がひびいた後
バタバタと足音がして扉が開く。


アキがドアから顔をだしながら発した
「はーい」って言葉にかぶせるように


「だから、誰か確認する前に
ドア開けんじゃねーって言ってんだろ」


と再び親父バリの俺の説教。

もちろんアキは俺の姿を見て驚いたように
大きな目をバチバチと瞑り瞬きをした。


「リョウ!
どうしたのこんな時間に!」

「ちょっと渡したいものがあって」


こうやってコイツと面を合わせるのは
実は久々で
この前の“3割”以来
アキはあからさまに俺を避けてて

といっても悪い感じじゃなくて
“あんなことして恥ずかしい”的な?

その姿を見たケンゴが
「ほんまは10割したんちゃうやろな?」
と俺に詰め寄ったほど。

まあコイツ男なれしてねぇし
それも仕方ないかと思って
それに色々考えることもあるだろうし

だからあまり深くは接しないようにして
挨拶程度しか
ここ最近はしてなかったから。


……もう、大丈夫そうだなと
いつもの可愛い顔で
俺を見上げるアキを見てそう思う。


「渡したいもの?」


少しボーっとした俺を覗き込むように
首をかしげる。

その姿を見て思わず
全然関係ないところに話が飛んだ。


「もしかして風呂上がったばっかり?」

「えっ!?何で?」

「髪少し濡れてるし、
顔実はすっぴんだろ?」

「ちょっと、見なくていいし
余計なことも言わないで!」


慌てたように手のひらで顔を隠すアキ。

いつもより幼く見える表情に
思わず顔が緩む。


やべぇかわいすぎる。