「ふッ、確かに最低だな。
でもケンゴも同じ事前に言ってたな」

「マジで!?」

「マジマジ」

「アイツもたいがい“音楽バカ”だな。
……あぁ、それでミヤか。
あいつらどうなってんの?
付き合ってんの?」

「わっかんねー。
つっこんで聞くとアイツ怒るし。
俺じゃ太刀打ち出来ねぇし。
リョウも今度聞いてみろよ」

「ははっ、わかった」


それから少しだけ間を空けて
話のトーンを元に戻す。


「知っての通りアキも
かなりの“音楽バカ”だし
さらに驚いた事があって

この前遊び行った時
アイツ道歩きながらも
意識がたまに飛ぶんだよ。

一言も話さなくなって
目は何見てんだかわかんなくなるし。
何でだと思う?」


それに対してカズマは
「さあ?」って仕種。


「作曲モード入ってたんだって。
耳に入ってくる音とか
色んな物にインスパイアされて
頭の中で曲作ってるんだ。

そうなったら最後
外部のものは一切シャットアウト」

「……お前と一緒だ」


悟ったような
半分楽しげなカズマの声。


「そう、それ聞いた途端
もうヤバイってくらい打ちのめされた。
こんな女がいるんだって」