「だってまさか倒れるなんて」

「あれはただアイツが
寝不足だっただけだし
お前が気にすることじゃないよ」

「それ、西条さんにも言われた」

「だろ?」

「でもそれ以前に
呼び出すとか卑怯なまね」

「まあ確かに、
人数集めて呼び出すのはあれだったけど、
もっと酷いことしようとすれば
出来ただろ?

犯人ばれないように
もの隠したりシカトしたり
そういう精神的な嫌がらせ。
でもお前はしなかった」

「面と向かって文句言わなきゃ
気がすまなかったから」

「そういうお前の
あたって砕けろ的な向こう見ずな所
結構気に入ってんだけどさ」

「……ばか」


唇をかんで、困った顔で俺を睨む。


「何だよ?」

「そういうこと不意打ちで言わないでよ。
ホントリョウって天然だよ。
ズルイ……」

「……悪い」

「謝るのも駄目」

「じゃあどおすりゃいいんだよ」


髪を押えながら思わず天を仰ぐと
真希が俺の袖口を引っ張ったから
彼女の方に視線を落すといきなり


「リョウ……、好き」

「は!?何こんなとこで
言っちゃってんだよ」


周りには
食後の飲み物を買いに来た奴らや
通りすがりの生徒達多数。

しかも今のこいつの声結構大きかったし
かなり注目あびてんですけど。

好奇の視線が俺らの身体に突き刺さる。


「別にどこでもいいじゃん。
今言いたくなったんだもん。
私の向こう見ずなとこ
気に入ってんでしょ?」

「確かにそういったけど」

「ハイ、告ったんだから返事」

「ここじゃアレだから
場所かえないか?」

「いいの、ここで」

「でも……」


さすがにこんな公衆の面々で
振ったりとか出来ないし。

渋ってる俺の言葉を
「いいから」って遮って
真希は覚悟を決めたような表情。


コイツ振られるのわかってて
こんなところで……。