それからライブハウスの前まで戻り
二人搬入口の前まで立つ。


街頭がさくらの姿を照らし
彼女がもってるオーラが
すこしだけ増したような錯覚。


うん、こいつも天性のボーカリストだ。


「ライブがんばれよ」

「ふーん、見ていかないんだ?」

「俺らも来週ライブだし、
結構忙しいんだよ」

「あぁ、そうらしいわね。
チケットかなりさばけてるって
COUNT ZEROの店長が言ってたわ」

「お前も良かったら
来週見に来いよ」

「人のライブは見ないくせに
自分のは誘うなんて
いい根性してるじゃないの?」


どちらともなく笑いあう。


この女最初の印象より
かなりいいほうに傾いたかも。

ぶっちゃけ俺の周りの女って
結構気の強い系が多いから
実はこの手のタイプは
扱いなれてるし話しやすかったりもする。


「それじゃーな」と
手を振って元の道を歩く。


数歩足を勧めたところで
「ねえ!」と声がして驚いて振り返った。


見ると変わらず街頭の下に立つサクラ。
その輝きはそのままで俺の方をジッと見た。