「お前はアキと
仲直りしようとは思わないのか?」

「……そんな事思う資格は
私にはないもの」


それだけ言うとサクラは立ち上がって
「もう時間よ」と
伝票をつかもうとしたから

俺はそれより早く手を伸ばし伝票を掴む。


「おごるって最初に言っただろ。
ライブ前に悪かったな。
色々話してくれてありがとう」

「別にたいした話してないわ。
……そういえば思い出したけど
あのライブの日も
アキ歌うのかなり拒否してたのよね。

それを半ば強引にステージに上げられてた。
あの子実は押しに弱いから。

だから始めは強行突破とか
無理やりでもいいから
バンドに入れちゃえばいいのよ。

多少卑怯でも
拒否できない環境に追い込めば
案外簡単に折れるかもよ」


まさかありえねえだろと思いながらも
実はすげえいいこと聞いちまった?

確かにアキ押しに弱いとこあるかも。

この前の“3割”だって
俺の強引さに抵抗できずって
感じだったし。


「はは、お前も見た目によらず
大胆なこと言うよな。
アキと似てないようで
そうゆうとこそっくりだよ。

でも参考にさせてもらうよ。
サンキューな」