するとサクラは足を組み替えて


「ここまで話したついでに
本当のこと教えるわ。
バンド解散の最大の原因は
私のバカみたいな“女の”嫉妬よ」

「“女の”って？」

「分かるでしょ？
あんたその分野凄く得意そうだし。
恋愛沙汰の下らない感情よ。

今ならあの時の自分が
どんなにバカだったかって分かる。
でもあの時は必死で
あの子を凄く傷つけて
大切なものを壊してしまった。

それが原因で私達の間には
修復できないほどの
亀裂が出来てしまった」

「どういうことだ？」

「言ったでしょ。
何もかも話すと思わないでって。
ここからはあの子の
プライバシーにもかかわるし
軽々しく教えられないわ」


大きな黒い目が
意志の強さを物語っている。


これ以上は聞き出すのは無理そうで
一回ため息をついた後
話題を別のことに移す。


むしょうに煙草が吸いたくなってきた。


「あのさ、昔はアキが黒髪で
お前が金髪だったんだろ？
なんで今は
アキが金髪でお前が黒髪なんだ？」


そのせいで
こいつをライオン女って間違えたし。

対して重要だとは思えないけど
少しだけ気になった。


サクラは少しだけ意外そうな顔をして
何か考えるように口元に手を置いた。


「そう、今はアキ金髪にもどしたんだ。
昔は家の人から“黒髪に染めるように”
って言われたっていってたわ。
本当はそんなのしたくないのにって。

私はただ目立ちたかったし
自分に似合うと思ったから
金髪にしてたけど、
黒髪に戻したのは……

そうね、やっぱり
アキが羨ましかったのかもね」


今初めて気付いたような
そんな表情を見て
どうしても聞きたくなった。