なんだか自分が自分じゃないみたいな
心がくすぐったいような変な感じ。


俺の超クサイセリフを浴びたアキは
目を少し潤ませながらも
拗ねたような怒ったような口ぶりで


「今の言葉も
凄く言い慣れてる感じだった」

「は?お前は
どんだけ俺を女ったらしにしたいんだよ。
これでも結構純情なんだけど」

「嘘!」


――この鉄壁の信用のなさは
もしや誰か
変な事吹き込んだんじゃねーだろうな。

思い当たることなんか
悪いけど山ほどあるっていうの。

過去のタラシの俺
頼むからどっか行ってくれ
……って無理な話か。


…………。


俺は制服のポケットをあさって
腕をアキの前に突き出す。


「なぁアキ、
これなんだ?」

「携帯電話」


そう、こいつが言った通り
今掌の上にあるのは
俺の黒い二つ折りの携帯電話。


「これ、今から何すると思う?」

「誰かに電話かける?」

「違う、こうすんだよ」


そう悪ガキみたいに笑うと
携帯を開いて両方の手で端を持ち


――思いっきり
逆方向に力を入れた。


バキッってすげえ音がして
俺の携帯電話は真っ二つに割れた。