俺は眉間にシワを寄せながら


「バイトって?」

「うん、宅配ピザの電話対応」


――電話対応。

あんまりこいつに“声”を使うのとか
してほしくないとか思った俺は
かなり自分勝手だ。

だけど遠回しに


「居酒屋とか、
もっと時給いいのあんじゃねーの?」

「だって接客業だと色々面倒で。
電話だと、顔見えないから」


この前の日曜日の事が頭を過ぎる。
……そっか。


「あぁ悪い、今のなし。
で、昨日学校休んだのはバイトって
なんで?」

「今月色々買い物しすぎちゃって
ちょっとピンチかな〜って思ってたら
店長が人手が足りないって言ってて。

だから昨日10時から深夜まで
労働基準法とかあるから
内緒でシフト入れさせてもらった」

「ピンチって
家から仕送りとかもらってねーの?
ここの家賃も相当高いだろ?」

「ここは
知り合いの人が貸してくれたから
家賃はかからなくて、
学費とかは家で払ってくれてる。
だから生活費だけはバイト代で」


――普通は家から仕送りとか
貰うもんだって思ってたけど。
だってまだ高校生だ。

でもそういうのはその家庭の
やり方があるから
余計な口出しとかできねーけど。


……っと話しを戻すと


「寝不足の理由ってそれだけ?」

「えっと、
それと曲作って夢中になってたら
朝になっちゃって」