妙に心の中がもやもやしつつ
でも一生懸命平常心を保ちながら
アキを寝室に運びダブルベッドに降ろす。


「まだ顔色悪いから寝てろ。
何か食いたいもんあるか?
っても料理できねぇから
コンビニで買えるもん限定な」


のそのそと掛け布団をかぶったアキは
目の下まですっぽりと中に隠れ
こちらを見た。

布団の上で揺れる大きな目が
まるで小さな子供のよう。


「どうせくだらねぇ遠慮してんだろ?
俺も腹へって何か食いたいし
ついでだからさ。

何も言わねぇなら
弁当コーナーの端から端まで
全種類買ってくんぞ」

「……玉子サンドと紅茶とプリン」

「そんなんでいいのか?
わかった
じゃあちょっと行ってくっから。
鍵かりてくな」


しっかりとアキが頷いたのを確認して
そこから歩いて5分ほどの
コンビニへ向かった。


とりあえず頼まれたものと
あと適当におにぎり、菓子パン
栄養ドリンク、アイスとか

アキが好きそうな甘めのものや
身体に良さそうなもの
手当たりしだい購入して
急いで部屋に戻る。


乱れた呼吸を整えながら
青いキーホルダーの付いた鍵を使い
静かに家の中に入った。

玄関に置きっぱなしにしてあった
ギターケースと彼女の鞄を持ち
寝室に入ると

アキはダブルベッドの左半分を開けて
右側で小さく丸まって寝てるみたいで。


――ただの偶然か?
それとももしかして
こいつ男いるんじゃねーの?

よく一緒に寝てたりすると
相手のスペース開けて寝るの
癖になったりするし。


ただの憶測なのに
心に嫌な感情が生まれてきて
あわててそれを打ち消す。

この感情の意味も深く考えないうちに
買ってきた荷物を冷蔵庫にしまい
寝室に戻った。