アキの向いた先をたどると

入口のすぐそばの一角に
500円ぐらいの安い
おもちゃの指輪やらネックレス等が
ゴチャゴチャ置いてあり

そこの前で楽しそうに品物を見てる
小学生高学年っぽい男の子と
低学年っぽい女の子。

顔からすると多分兄弟っぽい。


「男に生まれたい
もう一つの理由思い出した」

「何?」

「小さい頃
幼なじみの男の子二人がいて
その二人の関係がすごく羨ましかったんだ。
言葉なんかなくても
いつも何でもわかりあってた。

そういえば
リョウも幼なじみなんだよね?中原君と。
ちょっと羨ましいな」

「カズマ?まぁそうだけど。

何だよ、羨ましいなら
今度貸してやろうか。
あんなんでよかったら」


そういう意味でアキが
言ったんじゃないのはわかってたけど
あえてふざけた言葉で返す。


そしたら彼女はクルリと大きな瞳を回して
楽しそうに微笑んだ後
「そうだね」と冗談っぽく返事をして
店の外へ歩き出した。