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日曜日。

エレベーターを降りて
目当ての部屋の前まで歩いて行き
インターフォンを押す。

ピンポーンと低めの機械音が聞こえ
スピーカーから声が聞こえるのを待ってたら
いきなりドアが開いた。


「今出るからちょっと待ってて」

「お前、誰か確認してから出ろよ。
危ないだろが」


いきなり親父みたいな事を言い出した俺を
西条は不思議そうに見つめ


「だって時間ぴったりだし
藤ケ谷君だって思ったから」


“何か問題でも?”って
いう風な話っぷりに

普段ガード固いくせに
なんで肝心なとこで無防備なんだと
すげぇ心配になった。


そして玄関で靴を履いて
外に出てきた西条は
青いキーホルダーのついた鍵でドアを閉め
こちらに振り返った。


「お待たせ。
じゃあ行こっか、リョウ」

「何で呼び捨て?」

「だってデートでしょ?
この方が雰囲気出るかなぁて」

「意外とノリよくねぇ?
てっきり嫌々なのかと思った」

「考えたら私こういうの初めてだなぁって。
せっかくだから楽しみたいし」


……は?初めて?


「こうゆうのって何が?」

「だからデートが」

「……マジで?」

「マジで。
もういーでしょ、別に」


恥ずかしそうに
俺を見上げて睨み付ける西条。

つーかホントに!?
周りのやつ、よく今までほっといたな。

よし、そういうことなら
ますます気合い入れっか。