その後チャイムが鳴り二人で教室に戻る。

西条は大分落ち着いたようだったけど
泣いた目がまだ少し赤くなってたから
俺の胸の不安は消えなかった。


授業中三人にメールを送信。

『西条昔のバンドの奴らと揉めて
追い掛け回された経験あるらしくて
相当参ってるから交渉作戦は中止な。
今後のことはまた要相談』


するとすぐにケイタとケンゴから
了解の返事が届き、
窓側の席に座るカズマは
俺の顔を振り返り親指を立てた。

そのあまりに能天気な反応に
少しだけ気持ちが軽くなって
奴に笑顔で頷いて返す。


これからどうしようか……。


西条をバンドに入れるのを
諦める訳にはいかないけど
まだ時間が必要なのかもしれない。

彼女には去年の経験が
未だにトラウマとなって心の中に残ってる。

さっきの話の最低野郎と俺は
ぜんぜん違うっていう自信はあるし
そんな生半可な気持ちで長い間
あいつの事探してたわけじゃない。


……でもその俺の思いの強さが
彼女をさらに追い込んで
傷つけることにはならないのか?


これ以上あいつが苦しむ姿は見たくない。


それにバンドとか音楽とか
たまには全部忘れて
ただ普通に笑って過ごしてほしかった。


……で、いきなりデートとか
誘ったりした俺。


カズマの言葉じゃないけど
西条の事になると
理性がたまにぶっ飛ぶ。


あーーもう
自分がよくわかんねえ。

俺はいったいどうしたいんだ!?