彼女の綺麗な目と形のいい唇

細い肩と柔らかな身体のライン

抱きしめられた身体ごしに伝わる
豊かな胸の膨らみ

そして男を惑わせる甘い女の匂い。


さすがに頭クラクラして
そのまま西条の唇を
受け入れそうになったけど

頭の片隅で
“コイツはそんな女じゃない”
って気付いて

同時に肩ごしに伝わる
彼女の腕の震えを感じて
すんでのところで西条の唇を
右手の掌で押さえ込んだ。


「ちょっとタンマ」


多分予想してなかっただろう
俺の行動に
驚いたように目を見開らくと

ギリギリだった理性のカタが
瞬間外れたみたいに声を荒げた。


「みんな結局、
そうゆうのが目当てなんでしょ!!

始めは優しく心配してるふりして。
でも全部演技で……。
やりたいんなら抵抗しないから
やればいいじゃない!!」


まるで実際過去に
そんな経験があったみたいな言い方。


まさか……。
嫌な予感が頭をよぎる。


思わず身体の力が抜けて
彼女を落ち着かせようと
肩を掴んでた腕を下におろすと

さらに興奮した西条が俺を床に押し倒し
寝転んだ俺の身体の上に馬乗りになる。


ガツンッて背中を床に激しく打ち付けて
痺れるような痛みに顔をしかめながら
ますます悪化した状況に焦る。


……本気を出せば西条を退かすなんて
実はたやすい事だけど
今はあまり思い切った事して
コイツを刺激しないほうがいい気がした。