……え??


「お前、何やってんの?」


困惑した俺の言葉に
何も返事を返すことなく

ネクタイを床に落とした西条は
今度はシャツのボタンに手をかけ
上からひとつひとつはずしていく。


……何だこの状況。

色仕掛けで
バンド入るの見逃してほしいとか??


ありえねえ考えが浮かびながら
不謹慎だけど
心臓が破裂するくらい激しく動きまくる。


「おい、ちょっと待て。
何か、ろくでもないこと考えてない?」


彼女の行動を何とか止めようと
焦って言った俺の言葉は
ちっとも彼女には届いてないみたいで

ボタンを全てはずし
ゆっくりとシャツを脱ぎ捨て
俺の首の後ろに手を回す。


男を誘うのとは全く違う
誰にも媚びない強い視線。

まるで親のカタキでも
相手にしてるのかってくらい
痛々しくも悲しい眼差し。

西条は俺を引き寄せる為に腕に力をこめると
その顔を近づけてきた。