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次の日。
いい加減何かが起きる前に
ケリをつけたいと焦る俺。

そんな時転機が訪れた。


朝、下駄箱で西条を見つけた俺は
教室とは逆方向に歩いていく彼女の後ろを
隠れるようについていった。


マジでこうゆうのヤダ。
俺変な奴じゃん。


自分にうんざりしつつ歩いていくと
彼女は軽音部の部室の中に消えていった。


チャーンス!!
こんな機会もう絶対こないっつーの!


俺は気合を入れて
音を立てず部室のドアに手をかけた。

そしてガラッとドアを開けると


「……よお」

「………ッ!!」


こっちの目にもはっきりと解るくらい
体を震わせながら西条が振り向いた。

中に入りドアを閉め
ゆっくりと彼女に近づいていく。


「いい加減、逃げんのやめろよ」


部室の奥の窓際で
固まったまま動かない西条は
おびえたように俺の方を見た。


ってこれじゃ俺悪者みたいじゃん。


「そんなびびんなよ。
ただ話したいだけだからさ」


苦笑いしながら西条の近くに行くと
一瞬、彼女の周りの空気が
変わった様な気がした。

温度が下がったような
ストンと何かが落下したような。


「わかった」


冷静だけど
暗く、感情も何も表さない声で
西条は返事をした。