「いただきます」


誰もいないけれど、小声で呟く。

朝ごはんが用意してあるなんて、人生で初めてかもしれない。

食べた卵焼きはまだあたたかくて、なぜだか胸がしめつけられるように痛くなった。


(──小さい頃夢見ていた)


置手紙をよく見ると、下の方にケー番とメアドが書いてあった。

奥原さんのだろう。

食べながらそれを電話帳に登録する。