「で、アンタ何なの?」
「アンタって失礼だな……まあ、俺も押しかけてるんだから変わらないか。俺は奥原準一と言います」
お前と変わらないとか言われたくないっての。
奥原さんは、仕事用っぽい方のカバンから名刺入れを取り出して丁寧に差し出す。
株式会社、み……?
漢字が難しくて読めないけど、この人がウソを言ってないのはわかった。
「今年27になる独身です。実家は北の方で……何から話せばいいかな。何かない?」
何かない? って言われても困る。
こんなの相手にしてる時間がもったいないのかもしれない。
って言うか、聞きたいことも多すぎてわかんないし。
「じゃあとりあえず……華頼とどんな関係なわけ?」
「華頼さんと? ああ、そこからだよね」
奥原さんはずれためがねを人差し指で戻す。
「華頼さんとは接待で行ったクラブで知り合ったんだ。それからお付き合いさせてもらってます」
「華頼は今、大宮とか言う金持ちのじーさんと付き合ってるはずだけど?」
「大宮……って、あの大宮取締役!?」