「は?」
お母さん?
コイツが華頼のことを言ってるのは分かった。多分華頼の客なんだろうけど、だとしたらこの荷物……
「そっかー。それなら怪しむのも無理はないか。改めて俺は……」
「どいてくんない?」
華頼関係ってことならどうでもいい。
あたしは説明しようとする奥原さんをおしのける。
イキナリのことに奥原さんは細い体をよろめかして、うわっと小さく声を上げた。
その隙に鍵を開けて、家のドアを開ける。
「ちょっと、十里子ちゃん!?」
「気安く呼ぶな。マジ気持ち悪いし」
ちょっとカッコいいから残念だけど、あの女に関わってるんだから仕方ない。
急いで家に入ってドアを閉めようとすると、ドアの間に奥原さんが足をはさんだ。
「どかせよ!」
「ホント、話だけでも聞いて、頼むから!」
「大体アンタ何なわけ? イキナリ人の名前呼んで、訳わかんない」
「だからそれを話したいんだって!」
「……」
必死な姿を見て、あたしの心は折れた。
「……入れば?」
「ありがとう!」