空は晴れ渡っていた。


太陽がさんさんと照りつけ、爽やかな風が吹き抜けていく。







ようやく川辺に着いた私は、息を切らしながらも驚きの余り言葉を失った。


遠くから見ても分かる。


あれは優咲だ…。


私はがむしゃらに走った。







私は優咲のところに駆け寄ると、その奇跡を目の当たりにした。


周りの木々が全部花びらを散らす中、優咲だけは昨日の嵐がまるで嘘だったかのように咲き誇っていたのだ。


優咲…。


約束守ってくれたんだ…。


私は息をするのも忘れて、優咲を見上げた。


綺麗だった。


間違いなく、私が見た中で一番綺麗な桜だった。




自然と目から涙が溢れてくる。


私は優咲の体を強く抱き締めた。


「頑張ってくれたんだね…」


「約束守ってくれたんだね…」


私は優咲の温もりを感じながら、優咲の優しさに包まれる。





「ありがとう、優咲…」





私のその言葉に応えるかのように、ひらひらと桜色の花びらが風に舞い散る。


「すごい…」


私は驚きの声をあげた。


まるで、桜の雨のようだった。


花びらが、私の頬を優しく撫でる。


私は今、優咲に抱きしめられている…。





「来年も、再来年も…これからもずっと綺麗な花を咲かせてね」




「約束だよ…」





私は空を見上げた。


雲一つない青空に吸い込まれるように、散った桜の花びらは、風に吹かれ、空高く舞い上がっていく。


強く、気高く。


どこまでも高く。