次の日の昼、私は退院した。


病院から出た私は、中庭の桜の姿を見て愕然とした。


ピンクの花びらは無惨にも地面に打ちつけられ、桜の木には微かに花びらが残っているだけだった。


「やっぱり散っちゃったわね」


お母さんの声が胸に突き刺さる。


会いに行かなきゃ…。


優咲…。


私は無意識の内に走り出していた。


「どこに行くの!?」


後ろで叫ぶお母さんの声が聞こえた。


行かなきゃ。


時折、足が絡まってこけそうになる。


優咲…。


待ってて…。


私は春の風になる。