その日、熱が下がらない私は、意識が朦朧として救急車で病院に運ばれた。


そして、私は入院することになった。


点滴。


消毒液の匂い。


微かに聞こえる両親の声。


……。


……。


私の意識が戻ったのは、結局次の日のお昼だった。


少し熱が下がり意識が戻った私は、病室の窓からぼんやりと外を眺めた。


病院の庭にある桜は、今が咲きどきとばかりに咲き誇っている。


綺麗だけど、私の優咲の方が絶対に綺麗なんだから…。


私がそう思っていると、隣のお母さんは「綺麗な桜ね」と言って外の桜を眺めた。


優咲の方が綺麗なんだって言いたかったけど、私は「そうだね」って適当に相槌を打った。


「でも、この満開の桜も今日で見納めかもね。今晩からすごい嵐になるんですって…」


「えっ!?」


私は思わずベッドから飛び上がった。


「かなりの強風で、すごい豪雨になるって言ってたから、多分散っちゃうでしょうね……なんだか儚いわね…」


お母さんはしみじみと言葉を漏らした。


そんな…。


まだ私、満開の優咲を見てないのに…。


優咲…。

優咲ごめんね…。


私は一人優咲を想う。