自分の部屋に向かおうと廊下を歩くと、靴が何かを踏む。

パリパリ…と何かが壊れる音。

「…なんだ、これ。」

急にあたしの手を握り、聞く良壱。

「花瓶。の欠片。」

あたしは手を握り返して答えた。

自分の部屋はそんなに荒れてはいなかった。

ただ、ベッドと机とクローゼットと本棚があるだけ。

好きな本がぎっしりと詰め込まれていた本棚は、その中でも目立っていた。

あたしは何も言わずに、机の椅子に座る。

向かいあうようにして、良壱はベッドの端に座った。