6階について、604号室の前に立つ。

久しぶりに来る。

あたしは鍵を開けて、中に入った。

中は、外の空気と同じくらい寒かった。

電気をつける。

「…そういえば、前にうちに来たんでしょう?中に入る時、靴脱いだ?」

あたしは良壱に尋ねる。

「中まで入ってねぇ。玄関に靴ねぇから、そのまま帰った。」

そっか、と言って靴のまま上がる。

「良壱も靴脱がないで。」

そう指示すると躊躇する間もなく、良壱は上がった。