良壱は、煙草に火を点けた。
真ん前の床にペタリと座るあたしはじっと良壱を見ていた。
「『俺の女になるか？』っつった。」
突然、意味不明な事を言い出した。
「『うん』ってお前は答えたろ。」
あたしの頭が悪いのか、その暗号に近い言葉は理解しえない。
お前ってあたしの事か？
だとしたら、なんだ…？
「い、いつそんな話したの？」
「は？」
「だから。良壱は、いつ『俺の女になるか』って言ったの？」
煙を吐く。
まさか、子供の頃一度会った事があるんだ、なんて言わないだろうな!?
「最近。」
自分の思った答えより、もっと頭を混乱させるような答えを良壱は言う。
