自分にとって、
この家族に何も感情や未練すら湧かない。

あるとすれば、
何も不自由なく暮らす、この「娘」が気に食わないだけだ。


自分はおじいを亡くし、
「生きる為」に悪行に手を染めてきたのだから。


おとうとおかあの間で幸せそうに寝息をたてる、
この「娘」が憎い!









自分は、皆が寝静まるのを見計らっていた。


右手に鎌を持ち、そっと歩く。


左手を障子に伸ばし息を整える。


瞬間、









「ギィ、ィィィイ!」









傷んだ板を踏んだようだ。

自分の悪運もここまでか?