「嘘つき
非道な人間だったら、こんなことしないわ」

藤城君が、寂しそうにほほ笑んだ

「どうかな?
非道な人間じゃないなら、こんな風に女を利用したりしない
正々堂々と小山内 勇人に挑んでるんじゃないの?」

ずるいわ

そうやって、自分を悪者にして

何をしたいのよ

ただ兄様に痛い思いをさせてもらいたいだけじゃないの?

本当に非道な人間は、どんなときでも相手の気持ちを理解しようとは思わないのよ

信二みたいに

人を傷つけて、楽しむの

大声で笑うのよ

「もう、一人で帰れるわ」

マンションが見えてきたところで、私は口を開いた