「…どうしてあんなことをするの?
怪我したら、どうするのよ
私のことなんて、気にしないで帰れば良かったのに」

再び歩き始めた私は、藤城君の背中にむかって怒鳴った

私だけなら、信二たちに犯されるだけで済んだ

喧嘩をする必要なんてなかったのに

もし怪我をしてたら、どうしてたのよ

私は藤城君の駒なんだから、守る必要なんてないのに

何を考えてるのよ

「嫌だな、僕が負けるわけないのに」

藤城君が笑う

どうしてそう思うのよ!

「私の心配なんてしないでよ」

「どうして?
信二って人に顎をつまれたとき、震えてたのに
僕はああいうのが嫌いだ
弱い者だと知っていて、弱い者を傷つける人間は決して許さない」

「だからって…」

「僕は負けない
喧嘩なら、尚さらだ」

藤城君が私から視線をそらした

「信じられない」

「君のお兄さんに聞いてみるといい
僕がどんな人間か……どんな非道なやつか、を」

何、言ってるのよ

優しいくせに